2010年12月13日月曜日

【報告】第2回・川崎桂子の民謡カルチャー

今年の4月から年に2回の予定で始めた「川崎桂子の民謡カルチャー」の第2回目を、
11月28日に松戸市稔台市民センターで開催しました。

前回お声をかけなかった新しい皆さんにも来ていただいて、おおいに盛り上がりましたので、その様子をご報告いたします。

今回は「日本の名曲」と銘打って、民謡のほかにも唱歌や歌謡曲をたくさん取り入れ、参加者全員で合唱したり、「お友達の唄コーナー」を設けて、独唱していただきました。

私と伴奏陣は高い舞台に上がらす、参加者と同じフロアーで視線をじかにあわせながら、おしゃべりしたり演奏したりします。

ですから、歌い手の表情はもちろん、三味線、尺八、太鼓など伴奏者の手の動きなどが間近で感じられるよう、当初から私が考えていたことです。やはり、発信する側と受け手との距離感は少ない方が勉強になると思います。

「発声の基本講習」では、参加者全員でボイストレーニングを行い、私からも問いかけもし、みなさんの疑問などをじかに聞くことができました。

講習曲「チャッキリ節」は静岡県の新民謡として世に出た唄ですが、三味線との掛け合いでその持ち味が出る曲で、テンポと間、そして歯切れよい言葉が大切ですね。

私の作詞作曲による「下総松戸節」は、松戸の歴史を感じながら「ここは松戸よ・・・」の一番の歌詞を、ぜひ覚えていただきたいと願いつつ教授しました。

「喜代節」は格調高い秋田の祝い唄なので、一番だけをしっかり何度も繰り返しレッスンしました。

ともかく欲ばりな盛りだくさんのメニューなので、時間内に収まるよう時計を横目にがんばりました(; ̄д ̄)(; ̄д ̄)(; ̄д ̄)

締めくくりに私の伊勢音頭、串木野さのさ、秋田おばこを聞いていただき、3時間半はアッという間に過ぎて、今回の「民謡カルチャー」のカリキュラムは無事終了。

伴奏のみなさん、お疲れ様. 
ご参加のみなさんとは、また来年の春にお会いしましょうね(_´Д`)ノ~~
全員で民謡合唱

身振り手振りで熱演中

2010年11月15日月曜日

【報告】松戸市民謡大会

昨日は毎年恒例の松戸市文化祭。
市の文化祭ということで、いろいろな文化団体が市内のあちこちの施設で行事を開催します。

私たち民謡人が集う松戸市民謡連盟は、35の民謡民舞の会が所属していて、春秋に民謡民舞大会を行います。最盛期には1200名の会員がいました。

現在はその半数くらいですが、役員初め会員の協力のもとで楽しく充実した大会になっていると思っています。どんな小さな問題でも和気あいあいで話し合える雰囲気なので、それが大会の運営面にも出てくるんですね。

さて、大会のハイライトは何と言ってもコンクール!その結果はうれしいことに、わが宮本会も個人戦で4名入賞することができましたヾ( ̄∇ ̄=ノ

今回の宮本会では、新曲あり、、難曲あり、また私の下総松戸節もありで、とても楽しみな大会でした。酒田船形節、津軽音頭、佐渡おけさ、下総松戸節・・・どれもやさしい唄とはいえませんが、それでも、入賞できたんです。

お弟子さん達はみんな凄くがんばりました。伴奏の椿芳二先生、鈴木俊有先生、村木さん、ありがとうございました、芳百合さんもありがとう。

ところが、合唱は0.1の僅差で優勝を逃してしまったのです、残念(ノД`)
でも、来期はねらいますよ、みんなもっと練習しようね!



2010年11月5日金曜日

【報告】おさらい会

私の主宰する民謡教室・宮本会では4年に1度、
松戸市の市民会館や市民劇場で大きな「発表会」を開催しています。

そして、年に1回の「おさらい会」、
この二つが主な行事です。

おさらい会は、1年間のお稽古の総仕上げの意味もあるし、
会員同士の親睦を深めるためにも大切なことだと思っています。

場所はたいがい近隣の市民センターや自治会館を借り、
ほとんど会員の手作りで行います。

でも、伴奏陣だけはバッチリと本番並みの一流どころをそろえますよ。
そうしないと、大きな舞台を踏んだときの予行演習にならないからです。

というわけで、今年のおさらい会は7月25日、
隣町の佐野会館で行いました。

参加人数は見学のお客さん混じって約70名
記念撮影は舞台が小さいので幾つかのグループ別に撮りました。

それでは、ご紹介。

川崎流宗家・川崎マサ子と私を中心にして宮本会のみなさん。
川椿会のみなさんも応援に来てくれています。
友情参加の民謡合唱団コアラのみなさん。

コアラでは、民謡を唄うときには女性はピンク、男性は白のティーシャツ。
唱歌や歌謡曲のときには、女性は白のブラウス、男性は白のワイシャツがユニホームと決まっています。

師匠・川崎マサ子も来てくれましたよ。
はじめてお話しするけど、歳は私の方が3つ上のお姉さんなんですよ( ̄ー ̄)

フィナーレも本式にやりますよ。
花笠音頭、みなさん大きな口を開いて元気に唄ってますねヽ(^-^)ノ~

2010年10月28日木曜日

【告知】第2回川崎桂子の民謡カルチャー

第2回 川崎桂子の民謡カルチャー
秋の一日、川崎桂子と民謡を唄ってみませんか。唱歌や歌謡曲も唄いましょう!
プログラム
■ 発声の基本
  ひとの身体はよくできた楽器です。その楽器のお手入れをして何時までも良い声で唄いましょう。
発声法をしっかりお教えいたします。
■ 講習曲  チャッキリ節  下総松戸節(川崎桂子作詞・作曲)  喜代節
発声の基本を知ろう
曲のポイントをつかもう
小節の入れ方のコツを習得しよう
曲全体のイメージを理解しよう 

■ お友達の唄 

     豪傑節 鰺ヶ沢甚句 酒田船方節 酒田甚句 正調刈干切唄 本荘追分   
十勝馬唄 武田節 岡崎五万石 新しげさ節
■ みんなで唄おう(全員)
武田節 酒屋仕込唄・四季の唄 荒城の月 旅愁 赤とんぼ・また君に恋してる
■ キングレコード専属 川崎桂子の唄
伊勢音頭 串木野さのさ   その他リクエスト曲
■ と き  平成221128日(日)午後100分~430
■ ところ  松戸市稔台市民センター別館ホール(3階)
■ 主 催  川崎桂子の民謡カルチャー実行委員会
■ 協 力  民謡宮本会 民謡合唱団コアラ 松葉会
■ 伴 奏  三味線 椿 芳二 鶴家奏美 大賀芳百合 尺八 海老江豊允
■ はやし  宮本会 椎根恭子
■ 会 費  1000円(当日可)
■ 参加申込方法と連絡先
電話にて下記へお申し込みください(先着35名様)
川崎 047-342-0256 090-2231-7370
青木 047-341-6788  坂    047-363-6777 

2010年10月14日木曜日

【告知】第62回松戸市文化祭:松戸市民謡連盟大会


第62回松戸市文化祭

松 戸 市 民 謡 連 盟 大 会


日 時   平成22年11月14日(日)午前9時30分開演
場 所   松戸市民会館大ホール 
内 容   民謡コンクール・器楽合奏・合唱・舞踊

宮本会から入賞めざしてコンクールへ8名出場します

合唱コンクールへも出場します(草津節・草津湯もみ唄メドレー)

皆さん応援に来て下さーい!

2010年10月13日水曜日

長持ち唄

歌は世につれ、世は歌につれ・・・・この宇宙時代に民謡とはいかにも古いと思われるでしょうが(笑)
しかし、民謡がのどかに野山に響いていたほんのわずかな以前に、私たちの先祖たちは鍬で畑を耕し、鎌で稲を刈っていたのです。

私たちの世代は、その懐かしい風景を知っている。
コンバインの時代になっても、懐かしさだけは心の中にそっとしまってあるようです。
時代はかわっても、婚礼の席に呼ばれて長持ち唄を、こわれて歌うことがよくあります。そのようなときが、「民謡は日本人の心の故郷」という感慨にひたれるときのような気がします。

結婚式のお仕事はとっても楽しい。

まず若い新郎新婦に会える。それはうれしいことです。
そして、お二人からありがとうといわれるんです。そのときが感激です。

婚礼のハイライトは新郎新婦の入場です。
まぶしいほどの光の中で静かに長持ち唄の尺八伴奏の音が流れ、私にも緊張が走ります。

新郎新婦の、披露宴の入り口から席に着くまでのタイミングを計りながら演奏します。
会場の広さなどもまちまちなので、事前にリハーサルも行うんですよ。

披露宴での演奏曲は、さんさ時雨や喜代節・・・お立ち酒などがよく歌われますね。
そういえば、秋田船形や秋田おばこを歌ったこともありましたっけ。

たぶん縁起のよい歌であれば、何を歌ってもよいはずですよ。
また結婚式のお仕事こないかなアー(*゚▽゚)/゚

金屏風の前で長持ち唄を歌う私。
和装の花嫁花婿さん。

2010年10月5日火曜日

作詞作曲・下総松戸節

9月12日に日本郷土民謡協会千葉県連合大会が開催され
宮本会からも7人のお弟子さん達がコンクールに出場しました。

今回の成績は3名が入賞。

松戸市内よりもさらにレベルの高いコンクールでの入賞だけに
会員一同おおいに意気が上がりました。

ところで、千葉県連合大会には、千葉県の民謡だけを唄い競う「菜の花杯争奪戦」という部門があり
私の作詞作曲した「下総松戸節」で出場したお弟子さんが、第三位に入賞したのです。

日頃の練習が入賞というかたちで報いられるのは
本人はもちろん私にとってたいへん嬉しいことです。

特に今回の「下総松戸節」は、私が作った民謡という意味もあって
二重の歓びを感じています。

そこで今日は、その「下総松戸節」について
お話をさせていただきます。

東京育ちの私が松戸に住むようになって、早くも40年からの歳月が過ぎましたが
10年ほど前、地元に唄いつがれた民謡がないことに気がつきました。

私にとって、生まれ故郷の静岡、子供から青春時代を経て大人になるまでの東京が、第一、第二の故郷とすれば
それ以後一番長い年月住んでいる松戸は第三の故郷であり

まして私の二人の子供達にとっては、松戸はまぎれもなく第一の故郷なのです。
その自分や次世代のために故郷の民謡が欲しいとの思いがつのり、出来上がったのが「下総松戸節」なのです。

幸いにも斯界の神様ともいわれる巨匠・千藤幸蔵先生に、親しく教えを請う機会にも恵まれ
編曲もしていただき、3年前の春にキングレコードから発表させていただきました。


2007年発売4月発売

タイトルの「下総松戸節」は私の第1作
「野馬捕り唄・のまどりうた」は、その後に作詞作曲し、やはり千藤幸蔵先生に編曲していただいた第2作目。

大昔から松戸を中心にした下総台地は野馬の放牧地帯で
とくに江戸幕府ではこれらを天領として、野馬の生産に力を入れていました。

野馬を生け捕りにする作業は、野馬捕りと呼ばれており
その勇壮なさまを唄った、リズム感にあふた元気の良い唄です。(他の機会にご紹介しますね)



それでは、「下総松戸節」の歌詞をご紹介しましょう
1番から7番までありますので、各々に簡単な解説も加えておきます

1 ハアー ここは松戸よ 江戸から六里 (ハーヨイトナ ヨイトナ)
  葦の風吹く 納屋の河岸 (ハーヨイトナ ヨイトナ)
  鳴いて (ソレ) くれるな 波千鳥 (ハーヨイトナ ヨイトナ)


解説 松戸宿は旧水戸街道の宿場町として発達しましたが
    江戸川の水運にもめぐまれ、納屋河岸(なやがし)付近はおおいに栄えました


2 ハアー 帆かけ積荷の 高瀬舟行くよ
  上り下りの にぎやかさ
  恋し平潟 灯が招く


解説 その海運を担った舟が高瀬舟
    納屋河岸付近の一角に平潟(ひらかた)とよばれる遊郭も存在しました


3 ハアー 風早お宮の 大杉さまよ
  影はどこまで 願かけに
  偲ぶ想いは 露の花


解説 北松戸の風早神社には大杉の伝説が残っています


4 ハアー 江戸見坂きて 日も暮れかかる
  萬満お寺の 鐘を聞く
  西の空見りゃ 茜富士


解説 馬橋から八ヶ崎近辺にかけての急坂を上ると富士山がよく見えたそうで
    その坂は江戸見坂と呼ばれています
    また、萬満寺は鎌倉時代に創建された古刹で、重要文化財指定の金剛力士像があります


5 ハアー 筑波はるかに 御料の牧よ
  駒が勇めば 花が散る
  勢子も木陰で 一休み


解説 野馬の放牧地は小金牧と呼ばれ
    現在でも、小金原団地などの地名として残っています


6 ハアー 杜が見えます 本土寺さまよ
  夏はあじさい 秋もみじ
  参るその日は ご縁日


解説 いちめいアジサイ寺とも呼ばれる本土寺
    時期にはたくさんの観光客でにぎわいます


7 ハアー 小金お城は 三万石ござる
  下谷たんぼに 紅緒笠
  踊る乙女の 品のよさ


解説 戦国時代に小金城に拠ってこの地方を治めた高城氏
    江戸川流域の肥沃な土地は3万石あったそうです


というわけで、私の作詞作曲した「下総松戸節」が千葉県民謡として
たくさんのみなさんに唄っていただけるように、ますます頑張りたいと思います

どうぞよろしく

2010年9月29日水曜日

子供のころの夢

子供のころ私が夢見た職業は

1 花屋さん
2 バレリーナ
3 画家

これらの3つには順位はなく、ぜんぶ同じくらいになりたいと思っていた

小学生のころ学校から帰ると、同じクラスのM君と画板と絵の具をもって
写生にでかけたことをよく思い出す

そんなわけで、そのころの私からすると”民謡歌手”はまったくの想定外(笑)
でも、大好きだった絵を忘れたわけではなく、いまでも楽しみに絵筆を持つことがある

そんなときが私にとって、日常の雑事から離れた至福の時です
ということで、自筆の色紙を一枚ご披露しましょう


茨城県の牛久に在住して明治・大正・昭和と活躍した
小川芋銭・おがわうせん(いちめい河童の芋銭)の作品から模写

月夜の晩に畑では、茄子、大根、人参、かぼちゃなどが楽しそうに踊り狂っています
蛇笏の俳句も一句そえてみました

とる茄子や 手かごにきゅアと なきにけり  

それじゃまた!

2010年9月15日水曜日

朝顔

早起きは苦手の私でも、夏の朝だけはまだ薄暗いうちに目が覚める。
寝ぼけ眼で庭に下りるとひんやりと、心地よい。



今朝も朝顔がたくさん咲いてうれしい。出かけた折についでに買った苗で、ひ弱そーで無事に育つか心配していた。
それが、マーほんとによく咲くこと。品種は富士の桃(↑)と富士の空(↓)と書いてあった。桃は変だよネ 。

朝顔につるべとられてもらい水
と俳句にも詠まれている朝顔は、私の好きな花のひとつだ。



朝顔は民謡の文句にもありますよ。
会津松坂という祝い歌です。

朝咲いて 夜露にしおるる 朝顔さえも 離れまいとて からみつく

ずいぶんと粋な文句ですね。
でも女性にこう出られちゃ殿方も大変ですね(笑)
  
ともあれ、うちの朝顔たちは淡くやさしい色です。 



ついでに撮った私の大切なペット、めだかちゃん達。
朝食の餌をあげたらもう一寝入りしまします、今朝はホントに涼しいから。

2010年9月10日金曜日

発音・発声研修会


各地の民謡団体などから民謡の講師を依頼されることがあるがテーマはほとんど民謡の唄い方(曲の特徴や、小節の入れ方)などの技術的についてのことが多い。

ところが、今月の5日(日)に講師として招かれた埼玉県の三郷市民謡連盟研修会で求められたのは民謡の「発音・発声」について勉強したいということでした。

会員のみなさんは、長年自己流の発音・発声に頼っているいるうちに加齢とともに、きれいな声が出にくくなっていることに気がついたそうです。

発音・発声の大切さを、お弟子さんに日頃からやかましく教えている私としてはこの基礎から勉強したという三郷市民謡連盟のみなさんの熱意に感激し、入念な準備をして勇躍して望みました。

研修の場所は戸ヶ崎コミュニティーセンター。
研修をうける方々は連盟の会員さんで約100名ほどでした。

時間はぴったり1時間、中にはお弟子さんをもった先生方も混じっていて非常に熱心にお話を聞いて下さり、私にとってもとても充実感のある講習でした。

ではこのページでも発音・発声のミニ講座を開き発音・発声の簡単な勉強をしてみましょう。



発音・発生器官の概略図

日頃からのみなさんからの素朴な質問にお答えする方式でわかりやすくご説明します。

Q 声っていったいなんだろう?

A  声の素は肺からはき出される息(空気)です。

Q それで?

A 肺からはき出された息(空気)が声帯を振動させて声になります。

Q 人によって声の質が違うのはなぜ?

A 人それそれに口腔や鼻腔の形が違うし、息をはき出すために使う筋力に差があるからです。

Q もっと良い声になれますか?

A 努力すれば誰でも良い声の持ち主になれます。

Q 年をとってもだいじょうぶ?

A 声帯は70才まで年をとりにくい器官といわれており
  正しい発声法をマスターすれば、それ以後も年をとりにくいそうです。

Q 人間の身体は高級な楽器だと聞きましたが、ホント?

A まったくその通りです。声の高さや量や質が人によって異なる複雑で高度な楽器ですね。
  ただ、生きた楽器なので調子が良いときもあるし、悪いときもあるので、お手入れと調律に気を配ってあげましょうね。

Q 歌うときに息は口から吸うの、それとも鼻から?

A 鼻から7分、口から3分の気持ちで息を吸うのが正しい呼吸法です。

Q 民謡は「腹から声を出す」と言われますが、具体的によくわからない?

A 腹筋や背筋の力で肺からでる息(空気)の量を調節するため
  このような「腹から声を出す」という表現になるわけですね。

  ちなみに、肺は胸から背中まで達するおおきな器官なので
  「背中」に空気を入れる意識を持つとたくさんの息(空気)を吸うことがでます。

いかがですか、みなさんおわかりになりましたか?
この発音・発声は民謡の基本ですから、また機会をみて少しずつお教えいたします。

それではよろしく☆(^∀^)ノ~~ 

2010年8月29日日曜日

危ない橋を渡る

この「民謡つれづれ草」の冒頭は、5年前の松戸市民会館での25周年記念発表会のできごとです。       

私の主宰する宮本会では、4年にいちどを目安に市内の大きな劇場で発表会を行うことになっていてこの25周年の前は平成13年、場所も同じ松戸市民会館で開催しました。

松戸市民会館はJR松戸駅から歩いて5分くらいでアクセスも良いし舞台周りの使い勝手もよく音響の点でも申し分ないのだが、なにせ収容館客数が1200席もあります。

ひとくちに1200席といっても、これをお客さまでいっぱいにするのは、プロが集って行う民謡ショーでもたいへんなことでまして、お弟子さん主体の発表会では半分もいけば大成功といえましょう。

宮本会でも、頑張り抜いたはずの平成13年はやっとlこ6~7割の入りで、関係者のみんさんは健闘を讃えてくれましたがそれから4年の間、「この次こそは満席にするぞー」と、私は内心でリベンジを誓っていました。

そこで、半年も前から宣伝用チラシを3000枚もまき、プログラムは席数の倍以上の2500部も配布し先着300名のお客様に進呈する川崎桂子自筆の色紙を用意したのです。

もちろん、プログラムの構成や演目への工夫にも、無い知恵を絞り抜きその止まらぬ闘争心と執念の行き着く先が、アラフォーならぬアラカン真っ只中の↓のドレス姿となってしまったわけです。


さて、今だからお話できる、そのドレス事件の内幕はというと。

舞台衣装は着物と決まっている私たち民謡歌手にとって、胸が大きくあき裾を長く引きずったドレスや先も見えないほど長いツケマツゲや、10㎝もあるハイヒールなど、気恥ずかしいだけでなく危なっかしくて、唄に集中できるかとても不安でした。

出番が近づいて舞台の袖に現われた私を見てビックリ、次に「あんた、誰よーッ!?」
と言いながら笑いこけたマサ子師匠の顔は、今でも忘れられません(笑)。

しかし、なにが起ころうと、なんと言われようと、ここまで来たらもう引き下がれない!
お客さまを一人でも多く呼び喜んでいただくために、考え抜い末に思いついた”恥を忍んだ自己犠牲の企画なんだぞー”

でも、この衣装を着ることは恥ずかしいので、お弟子さんにも誰にも知らせませんでした(大反対は目に見えている)。
知っているのは、貸衣装屋さんの往復を手伝ってくれた気の毒な主人だけでした。

「えッ?、ご主人が何か言いましたかって?」
ええ、言いましたよ「おまえ、舞台で転ぶなよ!」、それだけは何度も(笑)。

やらねばならぬ!
やらねばならぬ!

で、唄った曲は、唱歌「砂山」と美空ひばりさんの「川の流れのように」。
唄い終わってから、転ばずに無事に舞台の袖まで辿り着いたときの安堵感は、今でも憶えています。

まったくいい歳をして危ない橋を渡ったものです。
今思い出すと、ただ、汗、汗、汗(^^;;)

ところで、このように危険な賭けをしてまで満席にしようとする執念が稔って、延べ入場者数は1200をはるかに超え「すごいねー、こんなに入ったはの何年ぶりですよ、がんばりましたね、川崎さん」と、市民会館の舞台スタッフの方々にほめられました。

というわけで、民謡つれづれ草の第一章は、発表会にかける民謡会主のとんでもない執念のお話でした。
ホントに何をしでかすか、わかりませんね。

しかし、みなさんご安心下さい。
もうドレスだけは、絶対あり得ませんからね(笑)。

それでは、こんごともよろしく